「痛み」は脳がつくる?慢性首肩こりに潜む神経の誤作動
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「痛み」は脳がつくる?慢性首肩こりに潜む神経の誤作動
こんにちは。リリーフポートの宮本です(鍼灸師・国家資格)。
「どこに行っても首肩こりが取れない」「マッサージしてもすぐ戻る」そんな方は、もしかすると“筋肉”ではなく“脳と神経”に原因があるかもしれません。
近年の神経科学では、「痛みは脳がつくる」という考え方が注目されています。筋肉や姿勢だけでなく脳の情報処理の誤作動が、首肩こりや慢性痛を長引かせることがわかってきました。
痛みはどこで生まれるのか?
痛みや首肩こりの感覚は、実は体の中ではなく“脳の中”で生まれています。
筋肉に炎症や圧迫などの刺激が起きると、「侵害受容器」というセンサーが反応し、その情報は神経を通って脊髄から脳へ伝わります。
この信号は、脊髄 → 脳幹 → 視床 → 大脳皮質(体性感覚野)という経路を通りますが、脳は単に刺激を「痛み」と感じるわけではありません。感情・ストレス・記憶などの情報を統合して、「危険」と判断したときに痛みとして出るのです。
つまり、実際に筋肉の状態が良くなっていても、脳が「まだ危険」と感じれば、首肩こりや痛みは続くことになります。これが痛みの再構築理論(Pain Matrix Theory)です。
慢性首肩こりと脳の過敏化(中枢性感作)
首肩こりが長く続く人は、脳の中で「痛みを感じる回路」が過敏になっています。これを中枢性感作と呼びます。
本来なら軽い刺激でも、脳が誤って強い痛みとして受け取ってしまう。まるで“痛みスイッチ”が過剰に反応している状態です。
特に以下の脳領域が関係しています。
- 脳幹:痛みを抑える中枢。過労やストレスで働きが低下。
- 視床:痛み信号を中継するゲート。過敏になると首肩の軽い張りも痛みに変わる。
- 前頭前野:感情や思考のコントロールを担い、疲弊すると痛みを止められない。
- 大脳辺縁系(扁桃体・海馬):不安や緊張を感じると首肩こりを悪化させる。
このように「首肩こり=脳と神経の過剰学習」であり、脳が“痛みを覚えてしまう”ことが慢性化の原因となります。
ストレスと首肩こりの神経的つながり
ストレスを感じると、扁桃体(感情の中枢)が興奮し、視床下部を通じて交感神経を活性化します。すると血管が収縮し、首や肩の筋肉が硬直。結果として、首肩こりや頭痛が強くなります。
さらに、脳幹の「痛み抑制回路(下行性疼痛抑制系)」も働かなくなり、痛み信号が止まらなくなるのです。
ストレス → 神経の興奮 → 筋肉緊張 → 首肩こり → 痛みのループ。 この悪循環が、慢性的な首肩こりを生み出しています。
首肩こりを助長する生活習慣
脳や神経を過敏にし、首肩こりを悪化させる要因は、生活の中にも潜んでいます。
- 長時間のデスクワークやスマホ姿勢
- 浅い呼吸・睡眠不足による酸素不足
- カフェイン・糖質の摂りすぎ
- 常に緊張している・気を張っている思考習慣
- 歯の食いしばりや顎の緊張
これらが積み重なることで、脳が常に「戦闘モード(交感神経優位)」に切り替わり、筋肉のこりや神経過敏が強まります。
セルフチェック|脳の誤作動による首肩こりかも?
- 肩や首のこり方が日によって違う
- 天気や気分で痛みが変わる
- マッサージしても翌日には戻る
- 不眠・疲労・頭重感を伴う
- ストレスで首肩がすぐ張る
これらに当てはまる方は、筋肉ではなく脳や神経の誤作動による首肩こりの可能性があります。
改善のカギは「脳と身体の整合(インテグレーション)」
首肩こりを根本的に変えるには、筋肉をほぐすだけでは不十分です。必要なのは「脳が身体を正しく感じられる状態」を取り戻すこと。
リリーフポートでは、神経学・自律神経・筋膜・呼吸・姿勢を統合的に評価し、「脳と身体の整合(インテグレーション)」を高める施術を行っています。
この整合が高まることで、脳は“危険ではない”と判断し、痛みを自ら抑える働きを取り戻します。これは単なるリラックスではなく、神経システムの再教育です。
自宅でできる首肩こりセルフケア
- 深呼吸(4秒吸って8秒吐く) 呼吸によって迷走神経を刺激し、自律神経を整えます。
- 顎の力を抜く 食いしばりを緩めると、首肩の緊張が和らぎます。
- ぬるめの入浴(38〜40℃) 血流を促進し、神経伝達を安定させます。
- ボディスキャン瞑想 体の部位ごとに感覚を認識することで、脳の体性感覚野を再統合します。
- デジタルデトックス ブルーライト刺激を減らし、脳の過剰興奮を抑えましょう。
「脳を整える」ことが、首肩こりの根本改善への第一歩です。
まとめ
首肩こりや慢性痛は、筋肉のこわばりだけでなく、脳の神経ネットワークの誤作動が深く関係しています。
痛みは脳がつくる。だからこそ、脳と身体の整合(インテグレーション)を高めることで、首肩こりを“感じにくい体”に再教育することができます。
リリーフポートでは、神経・脳・筋膜・姿勢・感情のつながりを丁寧に評価し、首肩こりの根本改善をサポートしています。
「どこに行っても良くならない」「原因がわからない」そんな方こそ、脳と神経という新しい視点から、自分の首肩こりを見直してみてください。