噛みしめ癖が首肩こりを悪化させる!顎と首の意外なつながり
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噛みしめ癖が首肩こりを悪化させる!顎と首の意外なつながり
こんにちは。リリーフポートの宮本です(鍼灸師・国家資格者)。
「気づいたら歯を食いしばっている」「朝起きると首や肩が重い」そんな経験はありませんか?
実はこの“噛みしめ癖”が、慢性的な首肩こりや頭痛、自律神経の乱れを引き起こす原因になっているケースは非常に多いのです。
顎(あご)と首、そして脳は神経・筋膜・姿勢制御ネットワークによって密接に連動しています。
今回は、噛みしめ癖と首肩こりの関係を、神経生理学・脳科学の視点から専門的に解説していきます。
なぜ噛みしめると首肩がこるのか?
噛みしめ動作を担う主な神経は三叉神経(さんさけいしんけい)です。三叉神経は顔面の感覚を司ると同時に、咀嚼筋(咬筋・側頭筋・翼突筋など)を動かす運動神経でもあります。
この三叉神経の感覚核は、脳幹(延髄〜中脳)に存在し、首の知覚を司る上頸神経叢や副神経と連絡しています。つまり顎の緊張は、脳幹レベルで首・肩の筋群に波及し、僧帽筋や胸鎖乳突筋の収縮を誘発するのです。
この状態が続くと、脳が「戦闘モード(交感神経優位)」を維持し、筋肉が常に硬直します。その結果、血流やリンパの循環が悪くなり、慢性的な首肩こりへとつながっていきます。
顎・首・脳の三位一体のつながり
顎関節は頭蓋骨(側頭骨)に付着しており、そのすぐ下には頚椎(C1〜C3)が位置しています。この構造的近接性により、わずかな顎のズレや噛みしめでも、首の筋肉や神経に影響が及びます。
また、顎や舌の動きに関与する舌下神経は、姿勢や呼吸リズムにも影響を与えています。噛みしめで舌や舌骨筋群が緊張すると、呼吸が浅くなり、脳への酸素供給が低下します。
さらに脳の中では、前頭前野(思考や感情の制御を担う部位)と大脳辺縁系(ストレスや情動を司る部位)が強く関与します。ストレスを感じると咬筋が反射的に緊張し、その信号が脳幹を通じて首・肩に伝わります。
つまり、噛みしめによる首肩こりは「脳 → 神経 → 筋肉」へと続くストレス反射の一種なのです。
噛みしめによる脳への影響と悪循環
噛みしめが続くと、脳の興奮状態が慢性化します。特に脳幹網様体や視床下部は、体の緊張や自律神経のバランスを調整する中枢ですが、過剰な刺激が続くと交感神経が優位に固定されます。
その結果、眠りが浅くなり、疲労が抜けず、日中の集中力も低下。さらに、首や肩の筋肉の緊張が増して脳への血流が減少することで、「脳疲労」が悪化していきます。
このように「噛みしめ → 神経興奮 → 首肩緊張 → 脳血流低下 → さらなる噛みしめ」という悪循環ループが形成され、慢性的なコリと頭痛を生み出します。
セルフチェック|噛みしめと首肩こりのサイン
次のような症状がある方は、噛みしめによる神経過緊張が関与している可能性があります。
- 朝起きたときに首や肩がこっている
- 頬やこめかみが張っている
- 歯ぎしり・食いしばりを指摘されたことがある
- 顎を動かすと音が鳴る・違和感がある
- 頭痛・めまい・耳鳴りが起こりやすい
- 集中するときに歯を噛みしめている
首肩こりを悪化させないためのセルフケア
噛みしめ癖は「意識的にやめる」だけでは難しく、神経と脳の興奮バランスを整えることが重要です。
- ① 顎の安静位を意識する
上下の歯を離し、舌先を上顎の前歯の裏に軽く触れるように保ちます。これにより顎周囲の筋緊張が緩み、首の負担が減ります。 - ② 呼吸を深める
浅い呼吸は交感神経を刺激します。鼻で吸って口からゆっくり吐く「吸う3秒・吐く6秒」を意識するだけで、自律神経のバランスが整い、脳の興奮も鎮まります。 - ③ 側頭部・うなじの温熱ケア
耳の前〜こめかみ〜うなじを温めることで、三叉神経や頚神経叢の緊張が解けます。温熱刺激は脳幹の血流を改善し、リラックス効果を高めます。 - ④ 水分とミネラルの補給
神経の伝達にはナトリウムやマグネシウムが欠かせません。脱水は神経伝達を乱し、筋肉を硬直させます。常温の水や味噌汁などで意識的に補いましょう。 - ⑤ 軽い咀嚼ストレッチ
指で頬の筋肉を軽く押さえながら「いー、うー」と口を動かすと、咬筋の過緊張を緩和できます。1日数回、短時間でOKです。
まとめ
噛みしめ癖による首肩こりは、単なる筋肉のこわばりではなく、脳(特に脳幹・大脳辺縁系)と神経・筋膜の連携不全によって起こります。
顎と首を整えることは、神経ネットワークの整合(インテグレーション)を高め、身体全体のバランスを取り戻す第一歩です。
リリーフポートでは、神経学・脳科学・解剖学の観点から、顎関節・首肩・自律神経を包括的に評価し、根本改善を目指しています。
「肩を揉んでも良くならない」「朝から首が重い」「ストレスでこりが強くなる」そんな方は、ぜひ一度“噛みしめと脳・首肩の関係”を見直してみてください。
※症状が強い場合や体調に異変を感じる場合は、医療機関の受診をおすすめします。