2025.11.17

産後と首肩こりの関係性をプロが徹底解説

産後と首肩こりの関係性をプロが徹底解説

産後に首肩こりが慢性化しやすいのはなぜ?女性の体・神経・姿勢から考える

こんにちは。リリーフポートの宮本郁也です。(鍼灸師・国家資格保有)

「出産してからずっと首肩こりが続く」「授乳や抱っこで首肩こりと頭痛がひどい」「マッサージに行っても首こり・肩こりがすぐ戻ってしまう」当院でも、産後のママさんからこのような声を本当によくお聞きします。

実は、産後に首肩こりが慢性化しやすいのは、ホルモンの変化・自律神経の乱れ・姿勢の変化・睡眠不足・内臓の回復遅れなど、複数の要素が一度に重なるからです。単なる「肩の使いすぎ」ではなく、脳と神経と体全体のバランスの問題として首肩こりが出ていることが多いのです。

今回は、「なぜ産後は首肩こりが慢性化しやすいのか?」を、神経学・解剖学・ホルモンの視点からわかりやすくお話ししていきます。

産後の体は“総リセット中”——首肩こりが出やすい前提

妊娠中から産後にかけて、女性の体はホルモン・血液量・内臓位置・筋膜・骨格バランスが大きく変化します。出産はゴールではなく、「体を元の状態へと再構築するスタート」のようなものです。

その中で、首こり・肩こりが出やすい土台が整ってしまいます。重心が変わり、骨盤まわりや体幹の安定性が落ちることで、頭部や首を支える負担が増加します。結果として、首肩こりを感じやすい姿勢に偏りやすくなります。

つまり、産後の首肩こりは「何か悪いことをしたから」ではなく、体が大きな変化から回復する途中だからこそ起こる自然な現象でもあります。ただ、それが慢性化するとつらさが大きくなるため、仕組みを理解しておくことが大切です。

ホルモン変動と自律神経——首肩こりを“固定化”させる神経の働き

産後はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが急激に変化します。これらのホルモンをコントロールしているのが、脳の視床下部と下垂体です。視床下部はホルモンの司令塔であると同時に、自律神経の司令塔でもあります。

ホルモンバランスの大きな揺れは、視床下部を介して自律神経にも影響し、交感神経が優位な状態が続きやすくなります。交感神経は「戦う・がんばるモード」を担当するため、首や肩、背中などの筋肉を引き締める方向に働きます。

その結果、首肩の筋肉が常に軽い“緊張スイッチON”の状態になり、首肩こりが慢性化しやすくなります。さらに、ホルモン変動はセロトニンなどの脳内伝達物質にも影響し、「痛みを感じやすい」「イライラしやすい」などの心身の変化も重なり、首肩こりのつらさが増幅されることもあります。

授乳・抱っこ・お世話の姿勢——首肩こりを悪化させる“前かがみ習慣”

産後の生活で大きいのが、授乳と抱っこの姿勢です。赤ちゃんに顔を近づけるようにして授乳したり、抱っこで片側ばかりに重心が偏ったり、オムツ替え・沐浴など前かがみの姿勢が増えます。

この姿勢では、頭が体の前方へ移動し、首の骨(頸椎)と肩関節にかかるモーメント(てこの力)が増加します。重たい頭を支えるために、後頭部から首・肩にかけての筋肉が常にがんばらされている状態になり、首こり・肩こりが強く出やすくなります。

さらに、視線を下に向ける時間が増えることで、目と脳も疲れやすくなり、後頭部の筋緊張や頭痛、めまい感などを伴う首肩こりにつながることもあります。

睡眠不足と脳疲労——首肩こりを“リセットできない”状態にする

産後のママさんの多くが悩まれるのが睡眠不足です。授乳や夜泣きでまとまった睡眠時間が取れず、「常に寝不足」「眠りが浅い」状態が続きます。

睡眠中、脳では神経のメンテナンスや老廃物の処理が行われています。深い睡眠が不足すると、脳幹や視床下部など自律神経の中枢が十分に回復できません。この状態が続くと、交感神経が過敏になり、首肩の筋肉がリラックスするタイミングが失われます。

その結果、「寝ても首肩こりが取れない」「朝から首が重い」といった、24時間ずっと首肩こりを抱えているような状態に陥りやすくなります。ここには、筋肉そのものだけでなく、脳の疲れ(脳疲労)が大きく関わっています。

骨盤・内臓の回復と首肩こり——“内臓体性反射”という視点

出産後は骨盤の状態だけでなく、子宮・膀胱・腸などの内臓も大きく変化と回復の途中にあります。このとき、骨盤内の血流や内臓の位置・筋膜の緊張が不安定になることで、腰〜背中〜首肩へと連鎖した緊張が生まれることがあります。

内臓のストレスや疲労は、同じ脊髄レベルを通る神経を介して、筋肉にも影響を与えます。これを内臓体性反射と呼び、例えば「お腹の調子が悪いと背中がこる」「胃腸が疲れると首肩が張る」といった現象が起こります。

産後はこの内臓体性反射によって、骨盤やお腹の状態が首肩こりとして表に出ている場合も少なくありません。首肩こりだけを見ていても、本当の原因に届かないことがあるのです。

産後特有のメンタル負担と首肩こり——感情と筋肉のつながり

産後は、喜びと同時に、不安・責任感・孤独感・焦りなど、さまざまな感情が押し寄せる時期でもあります。こうした感情の揺れは、脳の扁桃体前頭前野の活動を変化させ、自律神経のバランスを崩しやすくします。

不安や緊張が続くと、体は「守りのモード」に入り、防御反応として首肩周りを固める傾向があります。「力を抜きたいのに抜けない」「常に体がこわばっている」と感じる首肩こりには、感情面の緊張が隠れていることも多いです。

産後うつとまではいかなくても、「なんとなく気分が晴れない」「赤ちゃんのことが気になって常に緊張している」状態が続くと、首肩こりの慢性化にもつながってしまいます。

産後の首肩こりセルフケア——「全部はできなくてOK」の前提で

産後は、自分のケアよりも赤ちゃんを優先せざるを得ない時期です。
だからこそ、「完璧にやろうとしないセルフケア」が大切です。できる範囲で、体と神経に優しい習慣を少しずつ積み重ねていきましょう。

例えば、授乳のたびに「一度深呼吸をしてから赤ちゃんを抱き上げる」だけでも、横隔膜が動き、迷走神経が刺激され、自律神経が整いやすくなります。抱っこの際には、肘や腕をクッションやソファの肘掛けに預けることで、首や肩だけに負担が集中するのを防げます。

また、1日の中で数十秒でも、胸を軽く開いてあごを引く姿勢を作るだけで、前かがみで固まった首肩こりに変化が出やすくなります。「ストレッチを10分やるぞ」ではなく、「トータルで1分だけ胸を開く時間を作る」と考えてみると、続けやすくなります。

そして可能であれば、パートナーや家族に短時間だけでも協力してもらい、「何もしない時間」「考えない時間」を数分でも確保すること。脳が少しでも休まることで、首肩こりの感じ方そのものが変わっていきます。

リリーフポートが大切にしている「産後の首肩こり」への向き合い方

産後の首肩こりは、ホルモン・自律神経・内臓・姿勢・呼吸・感情など、多くの要素が絡み合う現象です。だからこそ、「首肩だけを揉む」アプローチでは、本質的な変化を感じにくいことが少なくありません。

リリーフポートでは、神経学や解剖学などの学術的知見に基づき、脳神経・自律神経/筋膜・骨格/ホルモン・内臓機能などを総合的に評価しながら、産後の首肩こりに向き合っています。評価→施術→再評価を繰り返し、リセット→学習→定着のプロセスを丁寧に進めることで、「一時的に楽になる」ではなく「自分の体が戻っていく感覚」を大切にしています。

産後の首肩こりでお悩みの方は、「頑張りが足りないからつらい」のではなく、「頑張ってきたからこそ体が悲鳴をあげている」のかもしれません。一人で抱え込まず、必要に応じて専門家や医療機関の力も借りながら、少しずつ自分の体を取り戻していきましょう。


※効果や体感には個人差があり、必要に応じて医療機関の受診をご案内します。

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